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  高血圧(1)

 
皆さんはまだ、「150を超えたら高血圧。自分は140台だから大丈夫。」なんて思ってはいませんか?表をご覧下さい。これは2000年に日本高血圧学 会が発表した高血圧治療ガイドラインの血圧の分類です。ご覧の通り140以上は立派な高血圧なのです。更に、130台でも「正常高値血圧」と呼ばれていま す。

 何故このように決められたのでしょうか。それは九州(久山町)の疫学調査で血圧が140以上になると、120台の人と比べて、有意に脳梗塞の頻度が高く なり、血圧が上昇すると共にその頻度も増加することが分かったからです。「脳梗塞」とは脳内の血管が詰まり、半身麻痺や言語障害、場合によっては命にかか わる病気です。アメリカでも同様の疫学調査がなされており、今年発表されたガイドラインでは、収縮期血圧(上の血圧)120-139または拡張期血圧(下 の血圧)80-89の状態は「高血圧前症」と呼ばれています。

 健康診断で140以上だった方は、医者に相談するか、家庭用の自動血圧計を買ってみてください。上腕で計測するタイプの方が安定した血圧が測定できま す。朝起きて直ぐとか、仕事から帰ったときなどに測ってみてください。ただし、一般的に自宅血圧は来院時血圧より10前後は低めにでるとされています。で すから自宅血圧は、上が130未満、下が85未満であるのが普通だと考えてください。それで高ければ、放っておかずに是非医者に相談してください。

 高血圧という病気は、今、苦しみや痛みを感じさせる疾患ではありません。しかし、放置すると高齢になってから、かなりの確率で脳梗塞や心筋梗塞になって しまいます。元気な70代・80代になるために、高血圧とうまく付き合っていくことが必要です。そのための注意や治療については次回にお話したいと思いま す。

 
 <表1>成人における血圧の分類

分類

収縮期高血圧
(mmHg)

拡張期高血圧
(mmHg)

至適血圧

<120

かつ

<80

正常血圧

<130

かつ

<85

正常高値血圧

130~139

または

85~89

軽症高血圧

140~159

または

90~99

中等症高血圧

160~179

または

100~109

重症高血圧

≧180

または

≧110

収縮期高血圧

≧140

かつ

<90

 

  高血圧(2)

 
高血圧は生活習慣病なので、すべての高血圧患者さんは降圧剤内服の必要性の有無に関わらず、生活習慣の修正が必要となります。生活習慣の修正によ り高血圧発症の予防効果が認められており、また発症してからでもその降圧効果が証明されているため、最小必要量の降圧剤の内服で済むようになるのです。  

表に生活習慣の修正項目を示します。食塩制限は多くの方がご存知の事と思います。高血圧モデルのラットに食塩を大量に与えると、見事に血圧は著しく上昇します。日本人の場合、1日に7g以上の食塩を摂取すると血圧が上昇するとされ、素材の中に内蔵される食塩を差し引くと、調味料として添加できる食塩量は1日4g以下とされています。  肥満は血圧を上昇させるだけではなく、それ自体が心血管病の危険因子なので、標準体重の20%を超える肥満は減量しなければなりません。

この標準体重は(22X[身長(m)]2)の式で計算されます。長期の大量の飲酒も血圧を上昇させるので、アルコール摂取制限も必要となります。エタノール量の1日20-30gと言うのは、具体的には日本酒約1合またはビール中瓶1本またはウィスキーダブル1杯とされています。心血管病の重要な危険因子である高脂血症の合併を予防するため、コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控える必要があります。

コレステロールは鶏卵や魚類 の卵の他、牛・豚・鶏・魚類の内臓(特に肝臓)に多く含まれ、飽和脂肪酸は牛・豚・鶏の脂肪に多く含まれています。また、低脂肪食が降圧をきたす可能性が 欧米では報告されています。運動、特に歩行・ランニング・水泳などの有酸素運動は、降圧効果のあることがよく知られています。

激しい運動をたまにするより、比較的軽度の運動を毎日 30分程続けることが最も効果的だとされています。但し、心臓病を指摘されている方は、循環器専門医に相談してから始めてください。喫煙により慢性的に血圧が上昇するかどうかは定説がありません。しかし、喫煙は心血管病の重要な危険因子なので、高血圧患者さんは絶対に避けるべきです。この他、ストレスの回避や寒冷への配慮も大切です。  

健康診断などで少しでも血圧が高めだと言われたら、定期的に血圧を測定するように勤めると共に、早期から生活習慣を修正するように心掛けることが大切だと思います。


<表2>生活習慣の修正項目

1 食塩制限7g/日以下

2 適正体重の維持

3  アルコール制限:エタノール量で男性は20-30g/日以下、女性は10-20g/日以下

4 コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控える

5 運動療法 (有酸素運動)

6 禁煙